第3章 刺客
わたしは知らないことばかりで
ゼンが
下を向いて話すのを
初めて見たー…
カッカッカッ…
「侯爵さま
外出ですか?」
「あぁ
屋敷に戻る」
カッカッ…カツン…
ハルカ侯が歩く先に、柱に寄りかかる赤髪が見えた。
(確信か…
私もどうやって
その人だって見極めよう…)
白雪が考えていると…
「何をしている」
カツン…
ハルカ侯が白雪に近づき、声をかけた。
決して、優しい声色ではなかった。
(ーーーー来........た…?)
「宮仕えの者か?」
「あ、いいえ…」
(見極め、見極め…)
「私はーーー…」
じっ................................................
「........何だ」
白雪は見極めようとして、思わずじっと見つめてしまった。
「ーーーーー........
どうやって、城内に入った?」
(!)
「........
詩人の門からです
ある方の許可をいただいて…
これからお会いしに行くので
不審に思われるのでしたら
ご同行されますか?」
ピクッ…
「何........!?」
「こっちです」
スタスタ…と、白雪がハルカ侯に背を向けて歩き始めると
「待て」
ハルカ侯の低い声が響いた。