第3章 刺客
(今の伝令…
本当にゼンの…!?)
少し走ったところで、柱に隠れるように立ち止まった
「今日城を出たら
もう会いには来られなくなる…?」
(ゼンに何があっても…?)
「…本人に
確かめないと」
白雪は再び城内を歩き始めた。
(分かってたつもりだったけど
私が前に会えるのは
本当にゼンの力があってのことなんだ…)
「おお、白雪どの!?
殿下のお客人だと耳にしています!
お散歩で?!」
「あ、はい。こんにちは」
(だから、自分の力で
同じ場所にいられる道を
目指していてー…
そうしたら、私は…)
ビュッ
「白雪!!」
「!?」
見晴らしの良い外階段を登る白雪を目掛けて
1本の矢が飛んできた。
間一髪、あかねが白雪を抱えて庇うことで回避した。
「はぁ…っ
白雪、大丈夫?!」
「あ、あかねさん!
今日はお会いしなかったですね…
一体何が…」
2人の目線の先には、
壁にめり込む矢。
「矢!?
どっ…どうして…
城内に矢が…」
あかねは壁から矢を抜きとる。
そこには、
“赤髪のお客人ー…
その先1歩も踏み入ることなく
立ち去れ”
そう書かれていた。
「ゼンに…
近づくなってことだ……」
「え?!
白雪、一体どういうこと!?
何か知ってるの!?」
あかねは白雪を問い詰めると
「あ…
さっき、一度門を出たあとに
忘れ物に気づいて戻ったんです。
そしたら、門兵の方たちに
ゼンが、もう私を城に通すなっていう
伝令を出したって言ってる男の人がいて…」
「ゼンが!?
そんなわけないじゃない!!
一体誰が…」
ガサッ…
遠くから聞こえた小さな物音を、あかねは聞き逃さなかった。
(まさか、さっきの男…??
さすがに遠くて見えない……)
(ゼンと私が同じ場所にいることを
許すまいとしてる誰かがいる
この城に…
................でも…
ここには
ゼンがいる!)