第2章 お出かけ
「んー?」
ゼンは紙を見ると、そのまま読み始めた。
「薬屋のおじさんに貰ったの」
「……募集要項」
「目指すことに決めたんで
報告」
バサッー…
船が出発の準備をする。
「宮廷薬剤師
城門をくぐる理由がいつまでも
客人じゃかっこつかないでしょ」
白雪は凛とした笑顔でゼンに向かって伝えた。
「なるほど
今日みたいに白雪と城内で出くわすってのも
面白いかもな!」
ははっと笑いながらゼンは言った。
「じゃあ、行ってくるね!」
「おう!」
「気をつけてな」
「いってらっしゃい」
「……」
ゼン、ミツヒデ、木々が船に向かう白雪に声をかけると、あかねは黙り込んでいた。
「ん?どうしたんだ、あかね?」
「ねー…
ゼン、わたしも白雪と行ってきていい?」
「はぁ?!」
「え、あかねさん…?」
「白雪も日帰りって言ってたし
わたしの仕事はもう片付けてきてるしさ。
ダメかな?」
「…ったく…
お前は1回言い出したら聞かないからな。」
「さすがゼン、よく分かってるね!」
「なにが、さすが!だよ…
良いぞ、許可する。
ただし、日帰りだからな。
白雪を家に送り届けてから帰ってこい。
迷惑をかけるなよ」
「ありがとう、ゼン!
ミツヒデ、木々、あとよろしくね!」
「あぁ。
あかねも気をつけてな!」
「白雪に迷惑かけないようにね」
ゼンは渋々了承し、ミツヒデ、木々もあかねを送り出しー…
白雪とあかねを乗せた船は出航した。