第1章 出会い
「ゼ、ゼン…!」
「よう、白雪
これ結んでくれ」
心配する白雪に、ゼンは包帯の解けた左手を出して言った。
「え
い、いや
その前にあなた体は…
それにあかねさんも…」
「ふふ…白雪、私たちは大丈夫よ
ゼンなんて、包帯結んであげるって言ったのに、いや、いい、なんて言っちゃってさ…白雪に結んで欲しかったのね」
「お、おい!!!」
あかねは心配する白雪に優しく声をかけ、ゼンは顔を赤くした。
「!」
ラジがなにかに気づいたようにゼンの方を向き直した。
「そうか
毒を口にした男というのは
君のことか!」
ラジはコツコツと部屋を歩きながら続けた
「いや
不運な事だった!
白雪どのを動けないようにして
連れてこさせる手筈だったのだが」
「........おまえが林檎をよこした
張本人か」
ゼンが静かに呟いた。
「口の利き方を改めろ男
私と君とでは身分が違うのだぞ」
フンっと鼻で笑ったラジに対し
「身分かぁ…ゼン?」
あかねは笑いながらゼンを見た。
「........これは失礼を
ラジどの」
ゼンは、剣を前に出した。