第10章 護衛
「てわけで
表に出たのも
お嬢さんおぶって帰ってきたのも
不可抗力ですからね」
「なんで断る!
何も言ってないだろ」
ゼンはそういうオビをジトっと見た。
「噛みつきそうな目で見てましたよ
あんた」
「見てるか!」
「え、でも想像できるよね」
「ったく・・・
ーーしかし、追い返してもいいって言ってあったのに
結局そうはならなかったな?オビ」
ゼンはそう言いながら、新しいワインボトルを開けて、グラスに注ぎ、
「お手柄だ」
グラスをオビに渡した。
オビは一瞬驚いた表情をするも、グラスを受け取りそのまま飲み始めた。
「いやまぁ・・・危なかったですけどね」
「そう?」
「まぁ白雪が相手だからな
何かあれば俺でも追い返されるぞ
きっと」
ゴソッ・・・
「無駄にならなくて良かったよ」
ヒョイッと、ゼンはポケットから出したものをオビに投げた。
「?」
パシっと受け取るオビは、手のひらに入ってきた物を見た。