第10章 護衛
「え?俺?」
オビは自分を指さし、驚いて聞いた。
「いや無理でしょ
俺、あの子脅した前科あるんですよ?
兵士に頼んだ方がいいですって
・・・ていうか、あかね嬢がいるし
あかね嬢はダメなんですか?」
「ん?」
急にオビに名前を呼ばれたあかねはオビの方を向く。
「あかねは、こっちの仕事があるし
正直次いつ兄上に呼ばれるかもわからん。
あかねを付けておくことも難しいんだ」
「なるほど・・・」
「まぁ、お前が付くことを良いとするかは
白雪次第だな
・・・お前に単身外出許可出して
帰ってこない可能性も考えてたんだよ、俺は
許せよ」
そう言われたオビは、虚をつかれたような顔をした。
(俺、試されてた・・・?
何も考えなかったな・・・)
「オビのこと、白雪に言ってなかったからな・・・
ちゃんと会わせるか」
「まだ捕まってると思ってるだろうしなぁ」
ゼンとミツヒデがそう話しながら、ゼンが椅子から立ち上がると
「あ、俺もう会っちゃいましたけど、実は
2回ほど」
オビの言葉は、執務室の時が一瞬止まるようなものだった。