第10章 護衛
オビは、自分から視線を外したあかねの頬を撫でた。
「!?
な・・・なに!?」
「いやぁ・・・かわいいなぁと思ってね」
「何言っ・・・!!」
ストレートなオビの言葉に顔を赤くするあかねに、オビは顔を近づけ、キスをした。
「・・・っ!んっ・・・お・・・オ、ビ・・・・・・」
段々と深くなった口付け。
あかねは必死に止めようとするが、オビが止めることは無かった。
「はっ・・・あ・・・んっ・・・も、やめ・・・」
あかねの息が絶え絶えになっていることに気づいたオビは、1度唇を離した。
自分を見つめて目に涙を浮かべながらトロンとした表情をするあかね。
「あかね嬢・・・誘ってます?」
「なっ・・・!!
そ、そんなわけないでしょ!!
離して!!」
あかねは必死にオビの胸板を押すがビクともしない。
オビがあかねを抱きしめているから。
「そう暴れずに・・・
今夜、あかね嬢の部屋に行っても?」
オビは真剣な目でそう言うと、あかねは顔を赤くして
「・・・好きにすれば?」
とだけ答えた。
「ははっ!
じゃあ、好きにさせていただきます。
さて、そろそろ主のところに行かなきゃだな・・・」
「?
帰ってきてからまだゼンのところに行ってないの?」
「はい。
まずはあかね嬢に会いたかったですし
・・・やっぱりまずかったですかね」
両手を頭の後ろで組むオビ。
とてもまずい事をしたとは思っていない態度だった。
「まぁ・・・そもそも外出の期限があったなら
期限より遅れて戻ってきたなら
まずはゼンのところに行くべきよね」
「あー・・・
ねぇ、あかね嬢・・・
これから主のところに行くんでしょ?
一緒に行きましょうよ」
「・・・はぁ。
わたしがいたって怒られる時は怒られるんだからね?」
「あかね嬢が潤んだ目で誘ってきたので、遅れましたって言えばなんとかなるかなって・・・イテッ!!」
オビの言葉に、あかねは空いていたお腹に1発お見舞いした。
「まったく・・・
ほら、行くよ?」
呆れたような言葉をかけるものの、表情は嬉しそうなあかね。
「はーい」
オビは、そんなあかねの後ろをついて歩いた。