第10章 護衛
執務室へ向かうため、廊下を歩いていると、外に見られているような気配を感じたため、あかねは立ち止まる。
「・・・・・・」
急にドキドキと心臓が鼓動し、それに気を取られないよう気配を探っていると、背後から声が聞こえ、首元に冷たい感覚が当たる。
「!?」
「こんな簡単に、背後を取られたらダメじゃないですか?
あかね嬢」
振り返ると、そこには自分の首にクナイを当てたオビがいた。
「オビ・・・帰ってきたのね」
はぁ・・・と、安心したようなため息をつくあかねを見て、オビはクナイを下げて、壁に寄りかかった。
「どうしたんですかい?あかね嬢
ため息なんてついて」
「別に。
・・・随分、長い外出だったのね」
あかねはぷいっと外を向いて答えた。
「いやぁ、久しぶりの城外だったんで、つい寄り道してしまって
こりゃ殿下にも怒られるかな」
「怒るでしょうね」
「えー・・・あかね嬢、庇ってくれないんですか?」
「いやよ」
「・・・俺がいなくて、寂しかったですか?」
「は・・・?
なにそれ、そんなわけないじゃない」
あかねはオビの言葉に驚いて声を上げるが、その耳は微かに赤くなっており、オビはそれを見逃さなかった。
「・・・」