第9章 ラジ王子の訪城
白雪は小さく深呼吸をして、イザナへ振り返った。
「イザナ王子
私は、タンバルンに帰るつもりはありません」
まっすぐイザナを見て言う白雪。
「へぇ・・・それは残念だな」
イザナは更に白雪へ歩みを進め、白雪の目の前に立った。
「退がらないのか?」
「さがりません」
「・・・目をそらさないね
あなたは・・・」
イザナはそう言うと、白雪へ顔を近づけ、左の瞼に口付けした。
そして、至近距離のまま
「どうかな、姫
嫌になった?」
「ーーーッ!!」
(完全にからかわれてる!!)
「なりません!!」
「白雪・・・」
あかねがそう呟くと、白雪はイザナを真っ直ぐ見すえて
「ーーゼンと会えた国です」
そういった。
イザナは一瞬驚いた顔をして
「おかしな子達だ」
と言い、そのまま去っていった。