第9章 ラジ王子の訪城
カランー・・・カランー・・・
ラジの訪城も終わりの日。
イザナとゼンは、城から見送っていた。
「さすがに見送りには出てこぬか・・・」
「は?」
何かを呟いたラジに、サカキは聞き返すも、少し頼もしくなったラジの背を見て、詳しく聞くことはやめた。
「おまえ
私の代わりに城の方へ一礼しろ」
「なんです?」
「いいからやれ!
帰れんではないか!!」
終始騒がしいお客人は、無事に帰って行った。
ゼン、ミツヒデ、木々、そしてあかねは、着替えた後白雪のいる薬室へ向かった。
すると、仕事を終えて廊下を歩く白雪に会えた。
「白雪ー!」
ミツヒデが声をかけると、白雪は振り返り、笑顔になった。
「何!?ラジと会った!?
いつだ」
「王子が帰る前の日。
廊下でばったり会ったの。
あ、あかねさんもいたよ?」
「はぁ?!
おまえ、なんで言わない?!」
「え?別に何も無かったからいいかなって・・・
ごめんごめん」
あかねは笑って誤魔化そうとした。
「その話、居合わせた兵に聞いた」
追い打ちをかけるように、木々も知っていたと暴露した。
「木々も・・・なんで教えてくれないんだ・・・」
ゼンは、そう呟くしか無かった。