第9章 ラジ王子の訪城
その後、サカキがラジを迎えに来て、ラジと2人去っていった。
そんな様子を見守っていた衛兵たちも、
「何事もなくてよかったなー」
と話しながら、持ち場へ戻って言った。
「やれやれ・・・」
「白雪、ありがとうね」
「?あかねさんにお礼を言われることなんてしてませんよ!」
「ん・・・そうかもだけど、
でも、白雪がゼンのところにいてくれて
わたしは嬉しい」
「・・・わたしも、ここにいられて嬉しいです!」
あかねと白雪は、2人で笑いあった。
白雪は、地面に落ちた小瓶を持ち上げた。
「白雪?
・・・っ!」
「室長に怒られるなぁ・・・」
「怒られないよ
俺が見ていたからね」
あかねは気配を感じ、すぐに頭を下げた。
白雪が声の方へ向くと、イザナが城壁に寄りかかっていた。
「あなたは
ラジどのといるのが
向いてると思うなぁ」
イザナは庭に出る階段を降りる。
「俺のような男がいる国は嫌だろう」
「イザナ様・・・」
あかねが心配そうな表情を向けるが、イザナはあかねを制し、白雪へ近づいた。