第9章 ラジ王子の訪城
「これは私が頼んだものだろう」
「違いますよ!聞いてません!!」
「私が名前を出すなと言ったのだ!!」
「ラジ王子!一旦落ち着いてください!」
ぎゃあぎゃあと言い合う3人。
そこへ、衛兵たちが何事かと集まってきた。
「!人が・・・
もう飲むぞ!!」
「!!」
パシっ!!
白雪が急いで小瓶の中身を飲もうとしたラジの手を払い、あかねはラジの顔を両手で包むように、目線をあかね自身に向けた。
「ひぃ!!
しっ!白雪どの!!あかねどの!!」
衛兵たちは、隣国の王子の手を払った白雪と顔を掴むあかねを見て声を上げた。
「ラジ王子!!
あなたは一国の王子なのです!!
よく分からないものを口にするなど、言語道断です!!
しっかりしてください!!」
「なっ・・・」
あかねはそう言うと、ラジの顔から手を離した。
すると、ラジは白雪の方を向いた。
「あれは、飲み薬ではありません!
創傷被覆材です!」
そう言う白雪へ、ラジは
「なっ・・・!?
・・・・・・・・・胃薬ではないのか?」
その場にいた者達は、ラジ以外全員が「は?」と呟いた。