第9章 ラジ王子の訪城
夜会の時も、翌日も、どこかしらで白雪のことは話題になっていた。
でも、ゼンは白雪を信じ、必要以上に語ることはしなかった。
いつも通り、執務室で仕事をするゼンは、ふと窓の外に目をやる。
「む」
視線の先には、イザナがいた。
「ちょっと外す」
「はいはい」
そのまま窓から飛び降りるゼンに、慣れていない者たちはぎゃあ!と声を上げていた。
「何か言いに行ったのかな?」
「だろうね」
「私たちも行かなきゃかな?」
「そりゃ、側近だからな・・・」
3人は書類から目を離さずに話し、キリの良いところで仕事を切り上げ、ゼンの後を(窓からではなく)追った。