第9章 ラジ王子の訪城
「・・・さっきのは、一体どういうことで?」
あかねは歩きながらラジへ聞いた。
「あ、あれは・・・
俺があの娘に近づく訳にはいかないと
とっさに言っただけだ」
「そうですか・・・
だいぶ大事になりましたけど」
「うっ・・・
それは・・・すまなかった」
あかねにじとっとみられ、ラジは謝るしかなかった。
「まぁ、ゼンが何とかしてくれたけど
白雪の立場もあるわけですし
気をつけてくださいね?ラジ王子」
「う、うむ・・・」
「ふふっ・・・
でも、外交を頑張っておられますね?
今日はお疲れでしょうから
ゆっくりお休みくださいませ
また、お夕食のお時間にお声がけいたします」
笑った顔を見て、ラジの顔は赤くなった。
少し視線を外して、
「あぁ、少しゆっくりさせてもらう」
と答えるラジ。
すると、あかねはそのまま視線を後ろにも向けた。
「お部屋はこちらです
サカキどののお部屋は左隣でございます」
「ありがとうございます」
「サ、サカキ!?
いたのか!?」
「はい。
気配を消して、あかねどのと進展するかな?なんて見守っておりました」
しれっと答えるサカキに、ラジはかぁっと赤くなった。
「う、うるさい!
そんなわけないだろう!!
では、失礼する!
案内ご苦労!!」
バタンっ!!
「ふふ・・・進展なんて、するわけないのに。
あまり免疫がないのですか?」
「まぁ、あの様子を見ていただければ・・・
ただ、本当に、進展があればと思いましたよ?」
「あら
ご期待に添えられず申し訳ございません」
あかねはニコッと笑いながら、サカキに言う。
「まだ滞在させていただきますので
様子を見させていただきます
では、私もこれで」
「はい
ゆっくりとお休みくださいませ」
あかねとサカキは笑いながら話し、サカキも部屋に入ったことを見届けて、あかねはその場を後にした。