第9章 ラジ王子の訪城
「いやな流れだな・・・」
「・・・」
その様子を数歩離れたところで見守るミツヒデと木々。
「実は彼女は今
この城にいるんだが
会っていかれては?」
「!?」
「イザナ様・・・」
スっ・・・
あかねが名前を呼ぶと、イザナはそれを制するように手を挙げた。
「娘の方から貴殿の元を去ったと聞いたが
未練がおありなら
席を設けるよ」
「兄上・・・
いくらなんでも
気の回しすぎです」
「そうか?」
「いい機会じゃないか
彼女も国に帰りたい気持ちが
あるかもしれないだろう」
「兄上!!」
ゼンがイザナを強く呼んだため、周囲のものを手を止めて視線を向けた。
ザワザワ・・・
「おいおい・・・
なんか冗談みたいな話してるけど・・・
かんじ悪いな」
オビが白雪にそう声をかけるが、反応はない。
「お嬢さん?」
「え?
・・・あ、ごめん
休憩終わるから
戻らないと・・・・・・」
白雪は怯えたような表情に冷や汗をうかべ、オビに言うと薬室へ向かって歩き始めた。
(クラリネスを出ろと
言われたんだろうか・・・
ここには必要ないからと・・・)