第9章 ラジ王子の訪城
「さっきの鐘、
ラジ王子がお着きになったんですね」
城門を守る衛兵の1人が相方へ話しかけた。
「こういう時
城内衛兵やってみたいですよねぇ
自分はしがない門番ですよ・・・」
最後は呟くように話すと
「俺は遠慮する
ほら、さっさと持ち場に着くぞ!」
と言い、2人は門へ向かった。
そんな衛兵たちの会話を聞いた白雪は、城を見上げた。
「気になるかい?」
「うわっ!?」
白雪が驚いて声がした方を見ると、
芝生に寝転がるオビがいた。
「あっ・・・?
あなたか・・・
今日は、あかねさんは?」
「ラクスド以来だね
あかね嬢とは、しばらく会えてないんだよね。
別行動。
なんだか、主達の様子も
どうも妙で さっ!」
勢いをつけて、起き上がるオビ。
「あんた
タンバルンの出身らしいし
何かあるわけ?
ラジ王子に」
なんとも言えない表情を浮かべる白雪に、
オビは気にする様子もなく
「まぁそんなわけで
迎えに上がりましたよ
お嬢さん」
「は・・・」
「いっちょ
偵察に行ってみようや!!」
「!?
ちょ・・・!」
オビは白雪の手を引き、勢いよく走り出した。