第1章 出会い
「金持ちの息子に
愛妾になるように言われたぁ?!」
ゼンに長い部分を切ってもらったあと、2人は並んで木の根元に座って話し始めた。
「色町で言葉を覚えて
金貨を食べて育ったと有名なご子息でね
赤い紙を珍しがって
自分の傍に置きたくなったって話だったよ
相手にしたら
果物屋で
林檎を買うようなものだったんじゃないかな」
白雪は、笑顔を崩さずに、森の一点を見ながら言った。
「白……」
「ーーだから
カケラで見飽きてくださいと思って
束ねた髪を置いてきたんだよ」
ゼンの方を見て、白雪は言った。