第7章 第一王子の帰還
その日の夜ー・・・
コンコンッ・・・
オビの部屋のベランダから、窓を叩く音がした。
「・・・!
あかね嬢?どうしたんですかい?こんな夜中に・・・」
あかねは、オビの部屋を訪ねていた。
「ん・・・ちょっとね。入ってもいい?」
「どうぞ?」
オビはあかねを部屋に招き入れた。
「どうかしたんですかい?」
あかねをソファに案内し、オビはベッドに腰かけた。
「なんとなく。一人でいたくなかったから・・・迷惑だった?」
あかねはオビを見て聞くと
「まさか
あかね嬢が訪ねてきてくれたのに、迷惑だなんて思うわけないでしょうよ」
オビは笑って答えてくれた。
「そう・・・ありがとう」
あかねはオビの笑った顔を見て、安心したように笑顔になった。
「なんか飲むかい?・・・と言っても、酒か水しかないけどね」
そう言い立ち上がるオビに
「じゃあ・・・少し飲もうかな」
と答え、2人でワインを開けることにした。
「ん!これ美味しいね!」
あかねは1口飲むとそうオビに言った。
「飲みやすくて良いでしょ?
この前城下に行った時に買ってきたんだ」
「・・・いつ行ったの?」
「ちょっとね、主のお使いですよ」
「そ・・・」
あかねはそう言うと、グラスのワインを飲み干し、2杯目を注いだ。
「あかね嬢、何かあったのかい?」
オビは、じっとあかねを見ながら聞いた。
「何か・・・は、ないよ。
気持ちの問題。」