第7章 第一王子の帰還
執務室ー・・・
「主、何かあったんですか
さっきからずっとラクスドの方角見てますけど」
オビが仕事をする木々に尋ねるも、木々が答えることは無かった。
ゼンは、バルコニーの手すりに座り、ピクリと動きもせず、同じ方向を見ていた。
花謡の間では・・・
「イザナ様
あの白雪という娘ですが・・・」
イザナの兵のひとりが、部屋で座るイザナの元へやってきた。
「あぁ、今帰したよ」
ふっと小さく笑い
「俺の事を
「ゼンのお兄さん」だって
あれは少し面白かったな」
楽しそうに言うイザナ。
「それが1つ分かったことがありまして・・・」
男は、報告書の内容をイザナへ伝えた。
「タンバルン
ラジ王子の愛妾候補?
なんと・・・実在したか
くだらない王子・・・」
「?」
イザナが呟いた後半の言葉は聞き取れず、?を浮かべる男。
そんな男を気にとめず、イザナは椅子から立ち上がり、窓の外を眺めた。
「目立ちたがりの
好色な人物と聞く
さぞ未練がおありなのだろうな
ちょうど良い
この城へ招待しようか」
そう言い、窓の外から目を離した。
「あぁ、君、仕事を返す。
それを書き直してくれ
まだ2.3人会うからその分も」
イザナは男に声をかけると
「はい
先程の方が書かれたものは
いかが致しましょう」
「あぁ・・・」
イザナは
再び椅子に座ると、冷たい表情で一言
「燃やしていいよ」
と言った。