第7章 第一王子の帰還
バタン・・・
「さぁ
彼らの名を
しっかり、ペンを持って」
イザナの言葉は耳に入るが、ペンを固く握り、小さく震える白雪。
「・・・ゼンの、お気に入り、か・・・
自分で紹介していて
おかしな感じだったよ
王族であるゼンが
友人を持ち、城に置く
これを聞くものは
やはり興味を持つようだ」
頬杖をつきながら続けるイザナ。
「俺も楽しみだよ
よほど何か
ゼンに必要とされるものが
あなたにはあるのだろうね?」
カランッ・・・
白雪は机に握りしめていたペンを置いた。
「・・・人の目にも明らかなものが
あるかどうか
私には、答えられません」
悲しさと悔しさと、いろんな感情が混ざり合い、それでも、立ち上がってイザナを真っ直ぐ見つめる白雪。
そんな白雪を見て
「そうか
拘束して悪かったね
下がっていいよ」
とイザナは言った。
その声を聞き、扉の前にいた衛兵が、スっとドアを開ける。
「・・・
はい」
ホッと小さく息を吐き、白雪は扉の方へ向かう。
「ーーー今の言葉が謙遜ではないのなら」
イザナが急に独り言のように話し始め、白雪は扉を出たところで足を止め、振り返る。
「物珍しい赤髪の娘を
異国から城に招き入れ喜んでいる
くだらない王子の出来上がりだ」
その言葉は、イザナが独り言のように呟いただけだった。
そのまま扉は閉まり、白雪は廊下に1人立ちすくんだ。