第7章 第一王子の帰還
カッカッカッ・・・
イザナは部屋の隅のカーテンに手をかけた。
「では次だ」
シャッ・・・
「待たせたね」
「「白雪!?」」
カーテンを開けたそこには白雪がおり、
ゼン、ミツヒデ、木々、あかねは驚いて声を上げた。
「ゼン、お前たちは下がっていい
忙しいのだろう?」
イザナは意地の悪い顔をして、ゼンの方を見た。
「・・・・・・!
兄上・・・
ーーー・・・では、そうします」
「ゼ・・・」
白雪は1人にされると思い、不安そうな表情を浮かべた。
カッカッ・・・
「またな、白雪」
グッとカーテンを握るゼン。
「え?」
バッ!!
「俺は
会いに行くからな」
カーテンでイザナ達から視界を遮り、白雪の耳元で、小さな声で告げるゼン。
「ゼン?」
白雪は、普段と違う様子のゼンに、か細い声をかける。
ゼンは、そんな白雪の頭を一撫ですると、カーテンを閉めた。
「失礼致します。兄上
行くぞ」
そう言い、ゼンは従者2人を連れて部屋を出た。
「イザナ様・・・」
「あぁ。あかねはここにいていいよ」
「・・・・・・」
「そう、怖い顔をするな。
さて・・・」
そう言うと、イザナはカーテンを再び開けて白雪に声をかけた。
「白雪と呼んでも?」
「は、はい
今朝はありがとうございました。」
「あぁ
いいえ」
白雪は、恐る恐るイザナに話しかける。
「あの、
ゼンのお兄さんー・・・ですよね?」
「その呼ばれ方は新鮮だね」
少し驚いたが、表情には出さないイザナは、平然と答える。
「名はイザナだ
白雪
あなたに頼みたいことがある
こちらへ」
イザナは、テーブルのあるソファへ白雪を促した。