第7章 第一王子の帰還
(え?そんな傷あったっけ?
・・・ゼンの言葉遣い・・・
ゼンより上の身分の人っていったら・・・
クラリネス第一王子・・・)
「不逞の輩かと思ったが
お前のだったか」
「・・・イザナ様」
「なんだ、あかねはあの者が気になるのか?」
「・・・・・・」
「そう怒るな。
それで?
砦の隊員たちへの処分が
報告されていないようだが?」
「ーー処分はしていません」
「何故」
静かに問うイザナ。
「彼らには周辺地域を見回り
守る任務があります
今回の件では
すでに何日もの間砦から動けず
その務めを果たせていなかった
これ以上復帰を遅らせるわけにはいきません」
イザナを真っ直ぐ見て答えるゼンに、
「ではゼン
お前の管轄から
ラクスドを先半年外すことにしようか」
(どうして・・・)
ゼンやミツヒデ、木々だけでなく、カーテン越しに聞いていた白雪も驚いた。
あかねはギュッと目を瞑って下を向いていた。
「賊の仕業であったとしても
砦の体制に過失はある
隊員達をお咎めなしとするなら
お前が処罰を受けろ」
イザナは、花瓶に挿していた花を1輪持ち、花の部分をくしゃっと握った。
(・・・・・・
兵たちがより責任を感じる処分か・・・)
(ゼンには相当堪えるな・・・)
ミツヒデと木々はそれぞれそう思った。
「ーーーお前は
自分に甘いから
今回のようなことで
彼らを責めるのが嫌なんだろ?」
図星をさされたゼンはカッと赤くなるが、拳をギュッと強く握り、堪えた。
「分かりました」
そのゼンの返事に、イザナは満足そうに
「よし」
と言った。