第7章 第一王子の帰還
コンコンッ!
「白雪どの!
殿下がお呼びですのです
至急お戻りください」
突然やってきた男にそう言われ、白雪は作業する手を止めた。
「え?
あ、はい・・・今・・・」
「・・・それと
着替えを用意していますので」
「着替え?」
白雪は促されるまま着替え、城内のある部屋に案内された。
「こちらでお待ちください
物音を立てられませんよう」
「は、はぁ・・・」
白雪は部屋にあったソファに腰掛けた。
(な・・・・・・なに?
何事!?)
状況が読み込めない白雪の元に、声が聞こえてきた。
「ラクスドまで行ってたんだって?
ゼン」
「・・・はい」
(ゼンの声!
・・・と?
青年声・・・
カーテンの向こうにいるの?)
ゼンが誰かと話している声が聞こえるが、ミツヒデではないようだ。
「報告書を俺も見たよ
砦の隊員たちが
賊の仕業で倒れたって
身動きも取れず
大変だったそうじゃないか
お前たちと城の薬剤師と
もう1人従者がいたとったが・・・
連れてこなかったんだな
さては仲が悪いのか」
「その者は・・・まぁ・・・
新参ですので」
イザナは小さな石を片手に持ち、ゼンに見えるように1度軽く上に投げた。
「頬に傷のある男か?」
「!!」
その様子を見たゼンは、
オビの頬にあった傷がイザナが投げた物によって出来たのだと悟った。