第7章 第一王子の帰還
中庭ー・・・
バッ!
「わっ!管理記録が・・・」
風で舞い上がった書類を、必死に集める白雪は、一緒にいて歩きながら書類を読むリュウへ向かって
「リュ、リュウ!
やっぱり、外歩きながら
読まない方が・・・」
と言うと、リュウは
「うん
ごめん、白雪さん」
と言い、2人で書類を集め続けた。
そこに、ベシっと白雪の顔に書類がぶつかり、
「!?」
驚いていると、急に目の前の書類がなくなった。
「あ、すみません、リュウ・・・」
そこには、リュウではなく、身なりの整った男がいて、白雪の顔にかかった書類をとってくれていた。
たったったっ・・・
リュウが白雪の元へ駆け寄ると、その男がいて、リュウはハッとした。
「あっ・・・」
リュウが何かを言おうとしたが、男は自分の口元に人差し指を当て、しぃっ・・・と、リュウに黙っているように指示した。
そして、書類をリュウへ渡すと、そのまま立ち去ってしまった。
「あ、あの!
ありがとうございます!」
白雪は、男の後ろ姿へ声をかけるが、男は振り返らずに言ってしまった。
「行ってしまった・・・
リュウ、今の人は?」
白雪がリュウの方へ向き聞くが、リュウは先程の男の仕草の通り、
「・・・よ、よく分からない・・・」
と、答えることにした。