第7章 第一王子の帰還
「最近のあいつはどうだ?」
「ゼン王子のことですか?」
「あぁ」
イザナは、あかねの少し寝癖のついたままの髪を撫でながら聞く。
「王子としての自覚を持って
行動していると思います。」
「そうか。
あかねから見て、気になることはないか?」
「特には。
・・・もしや、ラクスドの件を言っておられますか?」
「あいつは優しすぎる
そうは思わないか?」
あかねの質問には答えず、質問に質問で返すイザナ。
「・・・優しさは、ゼン王子だからこそ、かと思います。
厳しくすること、処罰すること、
それが全てではないと、私は思います。」
「ほう・・・
では、俺は優しくはなく、
そして厳しいということか?」
からかうように言うイザナに、あかねは慌てて
「そ!
そういうことでは無いです!」
と言うと、イザナはクスクスと笑いながら
「冗談だ」
「もう・・・兄様・・・」
「さて、もう行くとするか。
あかねはもう少し眠るのだろう?」
「え?もう・・・?」
急に立ち上がるイザナに、寂しさを覚えたあかね。
「俺が帰ってきていることは、まだあいつには言うなよ。
いつ気づくか楽しみだ」
企みのある笑みを浮かべ、イザナはあかねの頭を撫でると、そのまま部屋を出ていった。
「な、なんだったんだろ・・・兄様・・・」
イザナが出ていき、緊張がとけたあかねは、そのままふらっと立ち上がり、ベッドへダイブすると、そのまま再び眠りについた。