第7章 第一王子の帰還
その日の早朝ー・・・
コンコンッ・・・
「ん・・・なに・・・」
あかねは寝ていたところを起こされ、ぼーっとした頭のまま部屋の扉を開けた。
ガチャッ・・・
「はい・・・」
「起こしてしまったかな?」
「・・・!!?
イ、イザ・・・ッ!」
「しーっ。
・・・入っても?」
「(コクコク・・・)」
思わず部屋の前に立っていた人物の名前を大きな声で言いそうになるあかねは、その人に口を塞がれ、大声を出さずに済んだ。
そのまま、その人物を部屋へ招き入れた。
「すまなかったね
急に来て」
「イ、イザナ様・・・」
「かしこまらなくて良い」
「ですが・・・」
そう言いながら、部屋へ入り、ソファに座る人。
「俺とあかねの仲だろう?」
「イザナ・・・兄様・・・」
「うん、どうした?」
近くまで来たあかねに優しく声をかけるイザナ。
「だ、第一王子ともあろうお方が
このような明け方に、女性の部屋を訪ねるべきではないかと・・・
そもそも、お呼びいただければすぐに行きますのに!」
あかねはイザナの目を見て言うと
「ははは!
俺とあかねのことを疑うものなどおらぬ。
少し、ゆっくり話したくてな」
イザナは、自分の座っているソファの隣をぽんぽんと叩き、あかねに座るように促した。
「・・・」
あかねは、そんなイザナに逆らうことはせず、大人しくソファへ座った。