第7章 第一王子の帰還
立ち去るヒダカの後ろ姿を見ながら
「・・・ゼンの顔は
知ってると思うんだけど・・・」
「いきなり会っても
結びつかないんだろ」
と返すゼン。
そんなゼンの方を白雪が向くと、手入れをしていた剣を収めながら
「「友人」か「王子」か
どっちかにした方が
良かったんじゃないか?」
と言うゼンに、白雪は
「あ、そっか」
と返し
「自分の中で
分けて考えてないから・・・
どっちもゼンだし
ごめん、思いつかなかった」
申し訳なさそうにする白雪だが、ゼンはその返しを嬉しく感じ、ははは!と笑った。
「しかし、同期か・・・
実はお前の周りのこと
よく知らないよな、俺」
(普通にいたな、若い男・・・)
と考えながら呟くゼン。
そんな気持ちを振り払うように、
「まぁ、ともかく!
ラクスドの賊やらの件で
しばらく忙しくなる
お前と次顔合わせるのも
ちょっと先になりそうだ」
と言うと、白雪はえ?と聞き返し、
「そっか・・・」
と、壁に体を預けたまま下を向いた。
すぐに顔を上げて笑顔を作り
「じゃあ、また!
3人によろしく!」
と手を振って行こうとする白雪へ、ゼンは
「おい、もっと惜しむとかないのか」
と言うと、
白雪は少し顔を赤くして
「・・・・・・
惜しむって・・・
どうやって?」
「ど?!
どうやってって・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・」
考えた末・・・
「いや、いい!
じゃあな!白雪!」
と外へ体を向けた。
「うん!」
と優しい笑顔を見せる白雪の顔を見ると、ゼンはその場を離れた。