第6章 ラクスド
「白雪、これはどうするの?」
「これは、ここを剥がして、すり潰します」
「なるほどね・・・やってみる」
「ありがとうございます、あかねさん」
2人は並んで煎じ薬の準備をしていた。
そこに、見張り役だったシュカ(実は食事係だった)が来た。
「白雪どの、あかねどの!
今朝も早いですね!」
シュカは2人の手元を見て、
「それは・・・あ、先輩たちの?」
「うん、煎じ薬です。
滋養の
飲みますか?」
「うっ
いや俺、苦いのは・・・」
「苦手なんだ?
わたしも薬って嫌だなぁ〜」
3人で話しながら笑いあった。
チッ・・・チッ・・・チッ・・・
「よし、72ですね」
「「はい決定ーー!!!」」
おっしゃーと喜ぶ兵たち。
白雪が目の前の兵の手首を取り脈を測っていた。
「否!!
今のは白雪どのに手を握られて
心拍数が上がったんです
本当はきっと65以下なんですよ俺!」
必死に抗議するが、周りからは手は握られてねぇよ!などと野次が飛ぶ。
「72でも正常ですよ」
「じゃあ、俺が測りましょうか」
砦の治療士が測ると・・・
・・・
「72です」
「!!」
「「ははははは!!」」
楽しそうに話す兵たち。
つい先日まで倒れ込んでいた姿は嘘のようだった。
そんな話し声に釣られて、ゼンが顔をのぞかせた。
「なんの騒ぎだ?」
近くにいたミツヒデに聞くと
「あぁ、ゼン
脈拍数で訓練場の雪かき班を
決めてるんだと」
さー、いくかと重い腰を上げ始めた兵たちに、
「アホか!!!
おい、おまえら
全快するなら真面目にしろ!!」
「!!
殿下!
おはようございます!!」
兵たちは、やべっという顔をして、一目散に散った。