第6章 ラクスド
砦に残り、屋上に上がった木々とオビは、下にいるゼンを見ながら
「なぁ、木々嬢
ミツヒデさんって
まさかゼン王子に意見しないとか?
木々嬢は要所で
冷静にものを言うようだけど
相棒はちと甘くないかい」
そう言うオビを木々はふっと笑って
「さぁ
どうだかね」
と返した。
しばらくすると、ミツヒデが戻ってきて、白雪は馬から飛び降りた。
「患者は!」
ゼンをまっすぐ見て、そう言った。
先に休ませていた見張り番の男を1度兵達が休んでいる部屋に連れていき、白雪は手当をしながら状況を確認した。
「薬は治療士が処方していたんですか?」
「は、はい、始めは・・・
ですがこの時期の薬草では
追いつかないとかで・・・
この人数ですし
必要な種類が無くなってしまったんです」
「そうか・・・
そうですね」
白雪は転んでできた傷に薬草を塗り、包帯を巻きながら言う。
「・・・・・・「追いつかない?」」
ゼンはシュカの言葉が引っかかり、言葉を繰り返した。
白雪はその疑問に答えるように
「寒い地域の薬草は
薬効が低い分量が必要になってくるからね」
「そういうものなのか?」
「うん
慣れた人にとっては
副作用の調節であえて使う貴重品なんだけど
薬室長がそうみたい」
「へー
それで買いに・・・」
分かりやすく説明した。
「他に何か気付いたことは・・・」
白雪がシュカに聞くと
「はっ
いえ・・・自分は外で
見張りをしていることが多くて・・・
だから・・・あの・・・
す・・・
すみません・・・・・・
なんか全然役に立たなくて・・・おれ・・・」
どんどん小さくなるシュカに、白雪はあわてて、
「いや大丈夫!
大丈夫です、ありがとう!」
と必死に言葉をかけた。