第6章 ラクスド
ラクスド砦ー・・・
「さて、着いたはいいが・・・」
「見張りの姿が見えないね」
「本当に・・・」
そう言い辺りを警戒しながら歩くゼンと木々とあかね。
「おおい!
誰かいないのか!
近衛兵団の者だが!」
ミツヒデが大きな声で呼びかけると、
砦の窓から顔を出す人。
「・・・・・・!
お、お待ちを・・・!!」
ズルっ・・・ドゴッ!!
・・・ゴロゴロ・・・バキッ!!
勢いよく転んだ音とともに、「あだっ!」という声が聞こえ、転げ落ちてくる様子が伺えた。
バンッ!
「ミ、ミツヒデどの!
木々どの!あかねどの!
でっ・・・殿下まで・・・!!!」
男はよろけながら、砦の外に出てきた。
「ここへ送った使者が
帰らなくてな
迎えに来たんだ」
そう言うゼンに、男は慌てて
「・・・!
ダメです!!
ここにいては・・・
殿下まで戻れなくーー・・・」
「主!大変だ!!
砦の中で兵達が皆寝てますよ!」
男の言葉を遮るように、オビが木を飛び移ってやって来で、雪の上にボスッと着地した。
「寝てる・・・?」
ミツヒデが聞くが、男はオビの登場に驚いていた。
「でっ・・・殿下・・・
この者は一体・・・怪しい・・・」
ギィー・・・
「お邪魔するぞ」
ゼンはその様子に見向きもせず、砦内に入っていった。
「いけません!
ここは怪しい魔物に
とりつかれているんですーー!!」
「魔物・・・?」
「どういうことかな?」
「さぁね・・・とりあえず行こう」
ゼンの後に続いて、あかね達も砦内に入っていった。