第6章 ラクスド
バッ!
「失礼いたします
ゼン殿下!
先日のラクスドへのーー・・・」
報告を受けたゼンは、
「ーーわかった
さて、急用ができたな」
ゼンが立ち上がると、
「ま、まさか、ラクスドへ!?
お待ちください!
まだ殿下自ら向かわれる程のことかどうか・・・!」
報告に来た兵士は動揺していた。
しかし、ゼンの気持ちは変わらない。
「それを知るための使者が帰らんのだから
行く方が早い」
木から部屋の中へ飛び移ったオビは、
「おいおい
あの砦は場所的に考えて
そんなに重要でもないでしょうに
主が出るのか?」
そう近くにいるミツヒデに言うと、聞いていたゼンは
「砦には
あの地域を守っている兵士達がいるんだ
心配だろ」
そう言い、部屋から出ていった。
「・・・ミツヒデさん
あんた仮にも王子の側近でしょうが」
「あぁ・・・ゼンのな」
聞かれたミツヒデはいつもの事だ、と言わんばかりに、途中にしていた仕事を片付け始めた。
「ーーま
いいけど
木々嬢、あんたも行くの?」
馴れ馴れしく声をかけられた木々は、返事の代わりに睨んでいた。
「ハハハ
俺、嫌われてる?」
「呼び方がまずいんじゃないか?」
よいしょ、と、ミツヒデは使っていた本を数冊抱えて立ち上がった。
「あかね嬢は、いやがらないんだけどなぁー・・・」
そう呟いたオビであった・・・。