第6章 ラクスド
「ゼン王子」
窓の外には、木を伝ってきたオビの姿。
ゼンとミツヒデは執務室で仕事をしていた。
「・・・なんだオビか」
「ハハハハ
なんだとは冷たいですね、主」
「主じゃない」
そう冷たく言うゼンに
「やだな
俺の手綱は
あんたに預けたじゃないですか」
「預かってない!
ったく、あかねはどうした!」
「木を移動手段に使うなよオビ・・・
兵に捕獲されるぞ」
「あかね嬢は、今日は別行動ですよ
それより
今下で耳にしたんですがね
主の管轄領のラクスド砦に出した使者ー・・・
帰ってきてないそうですよ」
「!」
「じゃあ、連絡はとれないままか」
ゼンは、パタンと本を閉じた。
ミツヒデも、
「やっぱり砦内でなにかー・・・」
そう言いかけた時、執務室に兵士が1人来た。