第5章 宮廷薬剤師
カタンッ・・・
「・・・それを見てたのか」
後ろから、白雪に話しかけるゼン。
「言っておくが、
もう終わった事だからな」
「ーー・・・これ・・・
何か知ってるの?」
背を向けたまま尋ねる白雪に
「そりゃな
自分のことだ
・・・こっち向かないのか?」
優しく聞くゼンの言葉で、初めて振り返る白雪。
その目には涙が浮かんでおり、ゼンは白雪をそっと抱き寄せた。
「おまえが見終わるまで
ここにいてやるからな
・・・白雪」
「ーーーうん」
パタン。
「あぁー・・・
ぼやけて大変だった・・・
ごめんゼン
最後まで・・・
それにあかねさんの分まで・・・」
「いいよ」
そう言うと、ゼンは窓から出ようとしながら
「さて、行けるか?」
「どこに?」
「あの少年
お前が泣いてるって
必死に走ってきたぞ
で、酸欠」
それを聞き、白雪も慌てて窓から出て、
リュウの元へ走ったー・・・。