第5章 宮廷薬剤師
パラ・・・
(この辺りは・・・
怪我の薬だ
剣の稽古での擦り傷に捻挫
深夜城壁より落下し
打撲・・・
あ、これあかねさんも同じ怪我してる。
・・・なぜ2人して城壁に?)
そう思いながら読み進めると、
(!
こっちは普通の薬歴じゃない・・・?)
「あかね、9歳・・・
中毒症状と経過・・・・・・」
そこには、ゼンに出されたお菓子を先に食べたあかねが中毒症状をおこし、その際の薬歴等の経過が載せられていた。
そこからは、定期的に毒物を摂取し、経過を追う記録が残されていた。
「ゼ、ゼンは・・・?
ゼン、13歳・・・」
ゼンの記録を開くと、
それはゼンの毒薬投与の記録でーー・・・
「毒にはすこし
慣らされててね・・・」
白雪は、以前そう言ったゼンとあかねを思い出し、
涙が溢れてきた。
ガチャッ・・・
リュウが部屋に戻ってくると、
部屋の中で立ちすくみ、涙をうかべる白雪がいた。