第5章 宮廷薬剤師
下を向きたがら言うリュウを、ゼンは見て、そして立ち上がりながら・・・
「ややこしいな
あいつを
わかりたいんだろ?」
「え?」
「だったら
深く考えるのは遠回りだ
普通に仲良くなればいい話だろう
お前が子供じゃなかったら
こんな助言
してやらないけどな?」
そう言い残し、ゼンはヒラヒラと手を振っていなくなった。
薬室ーー・・・・・・
(室長呼んで戻ってきたら、リュウもあかねさんもいないし・・・どうしたんだろ?)
そう思いながら、白雪は薬室長の作った薬の記録をつけ、片付けをしていた。
「白雪くん
さっきの患者の記録が済んだら
ちょっといい?」
そう言いながら、室長が白雪の部屋に入ってきた。
その手には、分厚い本のようなものが2冊あった。
「ーーこれ
ゼン殿下とあかねの薬歴
私の判断で出してきたわ」
「ゼンとあかねさんの?」
「きみは薬室の誰より
あの方たちと一緒にいることが多いからね
急場の対応のために
見ておきなさい」
そう言い、薬室長は白雪へ2人の薬歴を手渡し、再び部屋を出ていった。
白雪は、受け取ったまま、読み始めた。