第4章 *midnightバンパイア(セト)
「もうこんな時間。…またご飯食べ損ねた」
毎日の日課とも言えるこの行動。
エサが無いときは、ここの小川で誰に届くかもわからない想いを抱きながら時間が過ぎるのを待つ。
「さて、日が昇る前に帰りますか。」
重たい腰をあげ元来た道を戻るのだった。
とても静かなこの場所。化け物と恐れられてるのは、仕方ないことなんだろうけどやっぱり寂しいと思う…
人間は私達にとって“エサ”それ以上でも以下でもない。
なのに
「なんで、友達が欲しいとか願ってるんだろう…」
仲間もいないから?他の吸血鬼なんて生まれてこの方見たことない。それに孤高を愛する吸血鬼が、仲間を欲しがるなんてばかげてる。
☆
『…はぁ~…どこっすかね?ここ…』
一言で言えば迷った。しかも、森で。
アジトの近くにこんな森があっただろうか?
無心で歩いてたからどうやってこんなとこに来たのかは覚えてないけど、ここにいる気がする。…俺の直感だけど。
不思議と手ぶらで迷ったにもかかわらず、気持ちがワクワクしてる。
やっと、逢える。待ってて今すぐ孤独から救い出してあげるから。
『…誰もいないっすね…とても綺麗なのに。』
ふと視線を横に向けると1羽のウサギがいた。
俺は能力をつかい夢に出てくる少女のことを尋ねてみた。
『このまま真っ直ぐっすね!ありがとうっす。』
ウサギにお礼をいい、俺は言われた通り真っ直ぐに進む。思ってたより近くまで来てたみたいだ。