第4章 *midnightバンパイア(セト)
『離さないっす……やっと見つけたんだから。』
見つけた……?
「……人間、何を言ってる」
『俺の名前は人間じゃないっす!瀬戸幸助……セトって呼んでくださいっす』
爽やかな笑顔を私に向け自己紹介をした人間……セト。
私も自分の名前を教える。
「私の名前はだ。」
『……いい名前っすね。やっと名前が聞けた』
……?
何を言ってるんだこの男は。
きょとんとしてる私にこいつの夢の中でいつも私が出てくる事、寂しそうな顔をしてて助けたいと思いこの森まで来たことを説明してくれた。
確かに……毎夜祈ってはいたがまさか本当に叶うとは。
だが、こいつはさっきからおかしな言動ばかりだ。
初対面の私に向かってどこか馴れ馴れしく自分勝手な言動ばかり。
それは私の警戒を高めるには充分だった。
「いつまで……抱き締めてるんだ。離せ」
『つれないっすね。……これから俺のことを何もかも知って欲しいっす。せっかく長期休暇も貰ったことだし……俺と一緒の日々を』
“楽しみましょ?”
彼の顔を見れば笑ってるはずなのに、目が笑ってなく
どこか妖しい雰囲気を醸し出していた。
人間なんて信用できないがその甘い誘惑に引かれ自然と頷いてしまった自分がいた……