第2章 infinite loop
「……何か辛いことあるとしても、諦めちゃ駄目っす」
『…………え………』
「最後には、必ず幸せがくるんすよ」
頭上から声が聞こえた。
項垂れていた頭をあげると、セトが苦笑し
言葉を続ける。
「………昔、俺が好きだったアニメのヒーローが言っていた台詞っす………サクヤさん、とても辛そうな顔している………俺に出来ることがあるなら何でも言って」
“協力するから”
その一言がジーンと胸の中、奥深くまで
行き届いた気がした。
とても温かくて、心地よい言葉が俺を優しく励ますように
聞こえてとても勇気づけられたんだ。
「あ、泣かないでっす! ……ほら、笑顔の方が似合うっすよ」
双眸から止めどなく涙が溢れてくる。
それに焦ったセトが優しく涙を拭う。
セトの百面相に面白くなって、つい笑ってしまった。
先程の悩みなんかまるで嘘のように晴れ晴れした気持ちが
胸いっぱいに広がっていく。
そうだよ。諦めちゃいけない。立ち向かうんだ…………何度だって。
俺がやらなきゃ、全てを知っている俺が皆を守らなくちゃ。
泣きながら誓ったあの日。
それは…………口約束という簡単な物だったけど、
初めて諦めないという自分の意思を明確に持つことが出来た。
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だが、そんな思いも虚しく塵となって消えゆくなんて
俺が……いや俺達がこの先の未来を知る、なんてすべはないのだ。