第2章 infinite loop
「……覚えているか?昔、いつも遊んでだ……オレとお前の思い出の場所」
思い出の場所……?
シンタローにそう言われ思考を巡らせる。
少しずつだけどバラバラになっていた記憶がまるでパズルのピースみたいに一つまた一つと、はまっていく。
あれは……確か
兄貴がまだ居た頃。
俺とシンタローだけじゃなく、もう1人……兄貴もいたんだ。
いつも遊んでいた公園の裏側。
そこは普段、立ち入り禁止区域でフェンスに囲まれた場所だったんだけど
俺達にとってはうってつけの場所でよく人目を盗んで侵入してたっけ……
中は何もない更地だったんだけど、誰も居なくて
秘密基地だねって笑い合った日々を思い出す。
『ああ、懐かしいな。』
あえて……あえて言わなかった。兄貴の存在を。
俺が謂うより、気付いて欲しかったから。
思い出して欲しかったから。
「また、お前と2人で行きたかったんだ。」
やっと、目的の場所に着いてそう答えるシンタロー。
あの時みたいにフェンスを上り中に入ると
あの時からあまり変わらない
変わったと言えば、あの時の更地のまま放置していたのか
雑草がそれぞれ好きな場所で生を育んでいた
隣にいるシンタローの顔を見ると、昔を懐かしむような顔でじっと前方を眺めていた。