第1章 夢か夢現か
記憶力はいい方ではなく、夢は目が覚めたとたんに薄れゆく。
なのに、この人たちが出てくる夢は一つ一つ鮮明に覚えている。
その時どんな事を話したのか、どんな表情をしていたのか…そんな細かいところまで。
そして、私はいつの間にかその夢を見たことを忘れないように、
夢に出てきた人達を思い出しながらその夢の出来事をスケッチブックに残していく。。。
真っ白だった紙に、色のついたペンですらすらとペンを走らせる。
(今日は爽やかな笑顔が良く似合う男の子が瞳を真っ赤にさせて…この病院にいる私を探していたな…)
また一枚の真っ白な紙に鮮やかな色がつく。最後はその中でも印象的だった真っ赤な瞳を描くだけ…
赤い鉛筆を手に取り、瞳を塗るためスケッチブックに視線を戻すと瞳の色は真っ赤に色づいて、所々真っ赤な斑点がスケッチブックを汚していた。
(?!っ)「っごふっ…はっぁっ!!っ」
吐血だ。
口から勢い良く、血が吹き出て真っ白な紙もシーツも真っ赤に染めていく。
急いで枕の横にあるナースコールを手に取りボタンを押す。
意識が朦朧とする。パタパタと複数の足音がだんだんと近づいてくる。
名前を呼ばれてるのに、反応できずそこで私の意識は途切れた。