第43章 Requiem 場地
「むかーしさ、圭介と2人で動物園行ったよね〜
あれ以来、私動物すごく好きになってさ〜
いつかペットとか飼ってみたいな〜て思ってて。」
「あぁ、俺も飼いてぇなぁ。
お前みてぇなペット。」
「はぁ?なにそれ?」
「なんか…猫みてぇなやつ」
「猫しかいないじゃん!」
くすくすと笑うランに目を細める。
よく笑うようになったよな…
あの頃とは別人みてぇだ。
「猫といえば…
ネコジチの日のことも思い出すよ。」
「あのネコジチは俺も忘れらんねぇ。
どっかでまだあの猫、生きてりゃいーな。」
「うん。あの時さ…助けてくれてありがとうね。
ちゃんとお礼言ってなかったと思って…」
はにかむランの髪にそっと触れる。
柔けぇ…
もっと捏ねくり回してぇ…
「俺さ…あん時から決めてんだよ」
「え?」
「お前を一生守ってくって」
「?なにそれ?」
ポカンと口を開けているランも、やっぱ癒される。
相変わらず鈍感なとこも。
「そういえば私さ…あの時の圭介にすごく救われたんだ。」
「は?」
「圭介がいるから、今の私がいるの。」
目を見開く俺に、ランは続けた。
「あの時…言ってくれたでしょ。
あれは私の人生の教訓なの。一生の…。」
"誰かと繋がるのは怖いことじゃねぇよ。
誰かと繋がるのは…
自分自身を受け入れて、許して、理解することだ。"
「圭介のおかげで私は…すごく生きやすくなった。
だから圭介にはずっと…一生…頭が上がんないの」
眉を下げて笑うランを、
強く抱き締めたい衝動に駆られた。
俺は… ランの心の中に、一生の何かを残せたんだ。
それが知れただけで
俺は満足だった。
今までで多分、1番嬉しい言葉だった。