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progress ~東リべ卍~R18~

第43章 Requiem 場地




「あり…がと……」


すごくぎこちないお礼の言葉が耳元に届いた。
同時に微かな息も吹きかかる。


「…おう。次からはぜってぇ、
傷1つつけねぇようにする。」


だからさ…



「お前も、もっと俺を頼れ。
辛いこととか痛てぇこととか、なんかあったらすぐに俺を呼べ。いつでも一緒にいてやっから。」


ハッとランが息を飲むのがわかった。


「…悪ぃ。違うな。
これじゃ同情に聞こえちまうな…
俺はさ……お前と一緒にいたいんだよラン。」


「え……」


「もっとお前のこと知りてぇし、笑ってるとことか泣いてるとことかも見てみてぇんだ。」


「………」



「俺、お前のこと好きだよ。」



俺はもう一度ピタリと止まって真顔でそう言った。



「何かを守るために、全力で頑張れる奴。
その何かがたとえ自分だったとしても…」




もうすっかり日が暮れてきていて
視線を落とすと、ランをおぶっている俺と、おぶられているランの足と頭の影が見えた。


「だから俺も強くなるよ。
この先お前が、心の底から笑ったり泣いたりできるように。
生きやすくなるように。
辛かったこととか全部、いつか鼻で笑えるようになるまで。」


しばらくジッと影を見つめたあとまた歩き出す。


「誰かと繋がるのは怖いことじゃねぇよ。」


俺は上を見上げた。
オレンジの夕陽がこちらに差し込んでいて、目を細めた。


「誰かと繋がるのは…
自分自身を受け入れて、許して、理解することだ。」


しばらくすると、俺の背からグズグズと声が聞こえた。

俺はランの泣き顔を見るってのが結局叶わなかったけど、初めて俺の背で、溜め込んでたものを吐き出しているランを想像すると、少し嬉しかった。
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