第43章 Requiem 場地
可哀想だから、
そしてマイキーと真一郎くんの家族だから、
俺はランと仲良くなれるよう頑張っていた。
いろんな悪さをたくさん教えたり、
時には助けてやって、手を差し伸べてやったりした。
でもランは、
気が付いていたんだと思う。
俺のそれが、単なる同情だということに。
だからランは、
決して俺の手をとることはなかった。
相変わらずほとんど話してはくれなかったけど、ある日俺は、ランと2人で小学校を下校していた。
マイキーはどっかの高校生と喧嘩の用事があるとかなんとか。
ランを危険にさらさないようにとっとと帰っててくれと言われた。
この時の俺は、まるでランのボディーガード気取りで少し興奮していた。
あ〜誰か喧嘩売ってきてくんねぇかな?
なんてワクワクしていた。
「「ぎゃははははははははは」」
「にゃーーーーーっ!」
「「?!?!」」
通りかかった公園から聞こえてきた騒音に2人同時に立ち止まった。
そしてその光景に目を見張った。
猫が砂場に埋められ、顔だけ出した状態で数人のガキ共に笑われていた。
こめかみに青筋を立ててブチ切れた俺は
瞬時に殴り掛かりに行こうと駆け出した……
ときにはもうランがそれをやっていた。
最近ランは、道場でもみるみる強くなっていっている。
そこら辺の自分と同い年くらいのガキ相手ならば簡単に喧嘩が成り立つレベルだろう。