第42章 rouse一虎②
「誰かと会ったり、話したり、行動したりすることは、その誰かとつながることが目的なんじゃない。
それを通じて自分の中に生まれた新しい自分と繋がるためなんだよ」
そんなふうに、
考えたことがなかった。
他人と仲良くすることなんて
ただの群れという自分の鎧のための偽の繋がりだと思っていた。
だから簡単に、人は裏切るんだと。
「私はね…
自分が自分自身を理解するために向き合うことこそが、"人との繋がり"なんだと思ってる。」
ランは少し表情を柔らかくして続けた。
「それに、独りはね、寂しいよ。」
その表情が、酷く儚げに見えた。
まるで自分にもそんな時があったのだと言うように。
「誰の力も借りず生きていけるっていうのはさ、
それは"一人でいられる人" なんじゃなくて、
"一人になってしまった人" だと思うよ。
それはそれで、一番寂しい人だと思う。」
その言葉に、鼓動が震えた。
1人で生きる力とは、
誰とも接触しないで、一人でいる状態に耐えられる我慢能力ではないのだと知った。
だから人は、一人では生きていけないんだと。
「だからさ、一虎。
いつでも待ってるから。
私たちが一緒に生きてあげる。」
涙腺が緩みそうになるのをグッと堪えた。
なぜだか心臓が
ズキズキと痛んだ。
まるで今までの傷に
消毒液が染み込んでいくみたいに。