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progress ~東リべ卍~R18~

第42章 rouse一虎②



「なぁ一虎ぁ、
マイキーの何がそんなに気に入らねぇんだ?」


店を出たあと、場地はそう俺に問いかけてきた。


「…気に入らねぇってゆーか、
俺はただ、自己中な奴が嫌いなんだよ。」


「ふーん。まぁ確かに自己中の象徴みたいなやつだけどさ」


「ホンットに万次郎って自己中だよねぇー。
私も自己中な奴きらーい。」


ランの言葉に、
また俺の心は救われる。

こいつはあいつらのことを追わなかった。
俺と場地といてくれた。



「でも万次郎のことは、嫌いじゃないよ」


「えっ?」


一気にドン底に突き落とされた気がした。
てっきり嫌いだとばかり…
俺の味方だとばかり思っていたからだ。



「な、なんで?」


「んー…なんだろ。
万次郎はさ、確かにかなり自己中だけど、
その自己中さが人の心を救うんだよ」


…?は?
こいつも… ランも…
あいつの自己中に救われたっていうのか?

場地もドラケンも三ツ谷もパーも?



「万次郎はね…」


「一虎?」


ランの言葉が誰かの声に遮られたかと思えば、立っていたのは父親だった。
俺の…大嫌いな奴…
俺が唯一…恐怖しているトラウマの奴…

もう母親とは離婚して
ずっと会っていなかった。



「…父さん…ひ、さしぶ」


「その首、刺青か?!」


ビクッ


「母さんは何も言わないのか?!
来なさい!!
こんな不良と付き合ってるのか!!」


父親は俺の手を強く引っ張っていく。


「なーんだあの親父…ムカつく」
「あれが一虎の…お父さん…」



「待ってよ父さん!ど、どこに行くの!」

「母さんのところに決まってるだろ?!」

「え?!」

「全く!あんなアホでも母親だから親権をくれてやったのに…この体たらく。恥ずかしい」


…やっぱり
久しぶりに会っても変わらない…。


「本当に俺の子か?」


グッと心臓が握りつぶされた感覚がした。

こういうとき、いつも思い出す。

俺の指一本で簡単に潰れていくアリの群れを…



そんな目で…見ないでよ…

俺は……アリじゃない。
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