第41章 reverie 一虎①
しばらくして場地も寝てしまい、
俺はなんだかまだ興奮状態でボーッと座っていた。
ランの寝顔に視線を移す。
こうして見ると、
普通に可愛い女の子って感じなのに…
そのマイキーってのと同じくらい最強で…
でも、惨い過去があるんだな…。
ていうかこの子…
俺と同じだ…
「んー…っ…はー」
目を擦りながらランがむくりと起き出し、目が合った。
「あ…お、おはよ」
「んー…あ、ピアス…
圭介ちゃんと開けれたんだァ〜」
「あ、うん…」
「似合ってんじゃん」
ニッと、初めて俺に笑いかけてくれた。
思わずドキッと鼓動が跳ねる。
「てかさぁ、ずっと思ってたんだけど、
あんた良いとこのお坊ちゃんでしょ?」
「えっ?」
「いい服着てるし、雰囲気でわかる。
なのにこんな朝まで遊んで不良やってて平気なのー?ちゃんとお母さんお父さんに連絡したの?」
「…してねぇよ。あんなのいないも同然だ。しょっちゅう喧嘩してて俺のことなんか無頓着だし、現に誕生日だっていつも忘れられてるし」
そう言うと、ランは目を細めた。
その様子がどこか妖艶で大人っぽく見えた。
「へぇ…。せっかくお坊ちゃんで両親もちゃんといてお金もあって、何甘ったれてんだって1発殴ろうと思ってたけど、やっぱやめとく」
「えっ」
「贅沢な奴って思ってたけど、
それじゃあ嫌にもなるよね。わかる。」
「っ…」
「私だってそうだった。幸せな家庭なんて幻想で、いつも顔色伺って機嫌とることばっかして…心が削られてた。
親なんていない方がいいと思うことあるよね。私は綺麗事は言わない」
そう言ってにっこり笑みを浮かべるラン。
俺は初めて自分のことを理解してくれる人に出会ったと思った。