第41章 reverie 一虎①
夜が明けるまで暴れ回った。
気に入らねぇ奴の家に乗り込んでぶっ飛ばし、気に入らねぇ大人の車に火をつけた。
ランは「なんで私も?」と終始不機嫌そうだったが、めちゃめちゃ喧嘩が強くて驚いた。
おそらくこの場地よりも強いんじゃないかと思った。
こんなに強い女を俺は未だかつて見たことがない。
単純に少し…憧れた。
「ちょっと…やり過ぎか?」
「ハハッ!やり過ぎ上等!」
燃え盛る車の前で場地は余裕そうに笑っている。
「いいか一虎!この火に誓え!」
「!」
「仲間ってのは損得じゃねぇ!
今日から俺とお前は…」
ボワッと大きな火が燃え上がる中、
場地は言った。
「仲間だ」
「場地…」
「さて…今日のシメはやっぱあのカスだろ?」
もう朝になっていた。
俺はジュンペケを呼び出してボコった。
「なにすんだよ一虎ぁぁっ…友達じゃんかよっ」
「金づるだろ?」
「ままま待ってくれよっ
謝るよ!だからっ」
「そのピアスよこせ」
「へ、へ?」
「誕生日なんだからいいだろ?
それとっ、一虎じゃねぇ。一虎さんな?」
ぶっ…!とランが初めて笑った。
初めてこいつの笑顔を見た。
ぶっちゃけそれが、今日1番驚いたことだった。
「よし!今からうち来いよ!」
「え?」
「ピアスの穴、開けてやるよ!」
場地がそう言って笑ったが、
なんとここでランが食いついた。
「私が開けたい!」
「は?!お前できんの?!」
「圭介よりは絶対うまくできる!」
「でもお前ピアス開いてねぇじゃん」
「圭介だって開いてないでしょ!?」
俺はなんだか途端に不安になってきてしまった。