第41章 reverie 一虎①
「はーい、圭介の勝ち〜」
息を切らしてうずくまる俺を、
この圭介って奴は冷淡に見下ろしている。
女の方は俺には全く興味が無いようで1度も目を合わせない。
「わかんねぇよ、テメェのことなんて。
他人だし。お前バカだしクズだし笑えるけどさ」
「…テメェ……」
「友達のために体張れる奴はキライじゃねぇよ」
そう言ってしゃがみこんできた。
「なぁ?ラン」
「…バカとか誰もあんたに言われたくないでしょーね」
女はそっぽを向いたままだ。
なんなんだこいつ?
この男の彼女か…?
それにしては随分と無愛想な……
「そーゆーことだからさ、
損得とか抜きで友達になろーぜ!」
男は、自分は場地圭介で女の方は月乃ランだと紹介してきた。
友達で、仲間…らしい。
「……すげぇ嫌だったけど、アイツらが頼み込むからお袋から金盗んでた」
俺は気がつくとこいつらにいろいろ話してしまっていた。
「なのに…ジュンペケ、俺を置いて逃げやがって…金づるとしか思ってなかったんだ…」
「…へー。だっさいね。どいつもこいつも。」
ようやく女がすました顔で口を開いた。
「…最悪の誕生日だ。」
「えっ…誕生日?」
こくっと頷くと、場地もランも目を丸くした。
「最悪の誕生日かー。
だったらさ!とことん暴れちまえよ!」
「え?」
「付き合うぜ?殴り合ったよしみだ!」
ニッと笑って差し伸べてきた場地の手を取った。