第41章 reverie 一虎①
「っんだよ負けた!つまんね!」
ゲームで俺に負けたジュンペケはその日かなり不機嫌になっていた。
「負けたらすぐ投げ出すなよジュンペケ」
「あ?テメェ何チョーシのってんだよ!
100円返せよ!!」
「えっ、俺の金っ」
ドンッ!
「うぉあっ!!」
ジュンペケに蹴られ、
何かの線を踏んでしまった。
「ああああああああぁぁぁ!!!!
俺の苦労の結晶がああぁぁぁあっ!!!」
その大声に、俺もジュンペケもびくりとなる。
「せっかくあとちょっとでクリアしたのにぃっ!!」
「まぁまぁ圭介。どんなに頑張っても私には適わないんだからさ」
「うっっせ!ラン!!」
そこにはゲーム機の前に、キレている男と呆れたようにため息を吐いている女がいた。
俺たちと同い年くらいに見える。
「テメェらだな?!マジぶっ殺す!!!」
男の方が俺たちに殺気を纏って怒鳴ってきた。
「あーわりーわりー。
一虎ぁ〜100円払ってやれよ」
「え?」
「早く」
「あ、うん」
ジュンペケに睨まれ、俺はゴソゴソとポケットから小銭を取り出した。
その瞬間……
「バカヤロウ!!!!」
ガンッ!!!
「い"っっ!!」
男がジュンペケを思い切り殴り飛ばした。
「金の問題じゃねぇ!!
俺の苦労はどうなんだって話だコラ!!」
「おい」
「あん?」
俺は男の手を掴んだ。
「俺の仲間に手ぇ出すんじゃねぇよ」
男はポカンとした表情で固まり、
女の方は椅子に座ったまま興味なさげに頬杖をついてこちらを見ている。
数秒の沈黙が流れた。