第41章 reverie 一虎①
無機質なマンション
無機質な廊下
無機質な笑顔
無機質な家族
ガキの頃から俺は、全てにおいて無機質なものに囲まれて育った。
誕生日だって、普通の子供たちのように、家族に囲まれて祝われるなんてこともなかった。
「キモチワリィ」
ちっぽけな蟻の列を見ていると、
その生き様が気味悪くてよく潰して遊んでいた。
「「誕生日おめでとう!!!」」
裏切らないのは"仲間"だけだ。
当時俺にはジュンペケという、鈴のピアスをつけていてちょっと不良じみた奴とその取り巻きが仲間だった。
「さーて!夜の街にくりだしますか!」
「どこ行くん?」
「カラオケ!そしてゲーセン!いつものパターン」
「…ジュンペケのピアスかっこいいね」
「だろ?先端がベルになってんの!お気に入り!」
「へー!いーなー」
「やんねぇよ?それに一虎ピアス穴ねぇし」
「小6でピアスがフツーじゃねぇんだよ!」
「ハハッ」
楽しい時はいつも思う。
このまま時間が止まればいいって。
こいつらとバカやってる時間だけが
俺の不安を消してくれる。
「一虎ぁ、いつも金借りちゃって悪ぃな!」
「…うん……」
大丈夫。
金づるではない…
貸してるだけだ。
俺はこいつらの仲間だし
こいつらも俺のこと仲間だと思ってくれてる。
そう言い聞かせてつるんでいた。